第一次世界大戦の敗戦によりドイツは歴史上初めての共和国となりました。 共和国樹立会議開催地により「ワイマール共和国」と呼称されています。 この新生共和国は過酷なヴェルサイユ条約に苦しめられ、更に1929年の世界恐慌の波を受けヒトラー率いるナチス党の台頭を許し、1934年のヒンデンブルク大統領の死去により首相であったヒトラーが大統領をも兼ねる「総統」に就任した時点で終焉を迎えたと一般的な歴史区分がなされています。 実質的に僅か15年しか存在しなかった共和国ですが、記念コインの発行は活発に行われ19種の3Reichsmark銀貨と9種の5Reichsmark銀貨が著名な存在であり、いずれの記念貨にも通常仕上げの他にプルーフ貨が製造されています。殆どのプルーフ貨は世界共通の「レリーフは霜降状、フィールドは鏡面状」の規格にて製造されていますが、全面をダークトーン状に仕上げたマットプルーフ貨も製造されました。このマットプルーフ貨は全ての記念貨に存在しているわけではなく、製造目的や製造数は不明ですがいずれも希少な存在です。弊社のオークションにおいても36回のフロアーオークションが行われた中で過去に3種の3Reichsmark銀貨が出品されたのみで5Reichsmark銀貨は初出品になります。この1929年ベルリン造幣廠製造（ミントマークA）の5Reichsmark銀貨は表面に「宣誓する挙手」、裏面にヒンデンブルク大統領の頭像を描き、1919年に制定された新憲法の制定10周年を記念して発行されました。当時の大統領と国家に対する忠誠と信頼の挙手を表裏に配置した記念テーマを端的に表したデザインであり、落ち着いたダークトーンの色調の魅力溢れる逸品です。またマット仕上げの貨幣は鑑定会社の査定が厳しく大きな貨幣ともなると63以上の数字が付与されることが少ない事からも、残存数と状態の両面から近代ドイツ貨幣の中でもトップクラスの希少性と言えるのではないでしょうか？ ⓇⓇⓇ
マット Proof UNC